第16章 一緒に寝よう
2人はほぼ同時に私を見て。
「「ない。」」
まるで、示し合わせたかのようにピッタリと言葉を重ねた。
「こんな時だけ揃わないで下さい。…赤葦さん、別に私と一緒に寝たい訳じゃないでしょう。」
「…りら、前に木兎さんに添い寝して貰ってたよね。」
なんとか留まってくれそうな方に焦点を合わせて話すと、出たのはいつもの‘平等’発言だ。
本当にこの人、よく分からない。
そんな話をしている内に黒尾さんが戻ってきたので、助けを求めようと顔を向けた。
説得をして貰おうと事の次第を説明する。
「なんだ。それなら、この部屋に布団敷いて皆で寝りゃいいだろ。」
そうだった。
黒尾さんはどちらかといえば、悪ノリをする方だった。
止めてくれる筈なんかない。
「あぁ、そのテがあったね。」
「客用布団出しましょうか。」
「いや、だから…誰とも一緒に寝ないって…。」
黒尾さんの提案で話が纏まってしまい、それを止めようとしても、もう誰も聞いていない。
三人はソファーを端に避けたり、布団を取りに行ったりとすでに準備を始めていた。