第15章 ゲーム
最後の命令を固唾を飲んで待つ。
「ツッキー、一回寝たら起きねぇよな?」
黒尾さんの口から出たのは、ここには居ない人の名前で眉を寄せた。
寝てる人を巻き込む気か。
質が悪いな、この人。
「半裸でツッキーのベッドに入って朝まで過ごす。」
黒尾さんはニヤニヤと嫌な笑顔で、本気なのだと分かった。
「寝てる人を勝手に使わないで下さい。月島が可哀想です。」
「仮に、私とかりらが当たったらどうすんのよ。勘違いしちゃったら、取り返しつかないじゃない。
ほら、男には朝の生理現象もある訳だし。」
「王様の命令は?」
抗議をする人達を黙らせようと、最初の私と同じ事を言い出す。
誰も、絶対、とは返さなかったけど命令を変えるつもりはないようだ。
「番号は…3。」
それを聞いて安心した。
私ではない。
周りを見回すと、一人だけ、完全に項垂れている人がいた。
しょぼくれモードの時よりも、どんよりとした暗い空気を纏っている。
この命令に当たったのは木兎さんだったようだ。
「この命令が俺…。ツッキーに殺される!」
真顔で、とても物騒な事を言っている。
当たった木兎さんも可哀想だけど、声を掛けたりしたら火の粉がこちらに飛んできそうで黙った。