第15章 ゲーム
また、カードを引く。
簡単には王様がくる事はないようで、次は数字の4。
王様は、きとりちゃんだった。
「じゃあ、軽めに…。この先1時間、恋人繋ぎ。トイレとかも一緒に行ってね。番号は、2と4で。」
「他の命令が当たった時は?」
「その時だけ離してオッケー。気にするって事は、当たりなんだ?」
肯定をするように数字のカードを見せる。
相手は黒尾さんだった。
ちらっと時計を見てから左手を差し出すと手が重なる。
指先を絡めて、思ったより強く握られた。
「黒尾ズリー。」
「普段の行いが良いんじゃね?」
「本当に良かったら下着交換も当たりませんよ。」
「思い出させんな!つか、もう自分の履いていいだろ。」
膝枕を終えて普通の体勢に戻った二人がこちらを見ている。
赤葦さんの言葉で一番初めの命令を思い出した黒尾さんが、手を離そうとした。
「それは構いませんけど、命令なので手は離せませんよ。…片手で着替えるか、私に手伝わせるかしないと無理ですね。」
従っておかないと、何かペナルティを言い渡される可能性がある。
絶対に離さないと言うように手をしっかりと握ると、黒尾さんも諦めたようで握り返された。
この命令が続く限り、きっとゲームも続く。
後、一時間以上は付き合うしかないと諦めの息を吐いた。