第15章 ゲーム
まぁ、逃げられる訳はないのは分かっているけど。
「アンタは明日も何もないでしょ。座りなさい。」
「やるとは言ってない。」
「いいから。」
予想通り制止された。
何を言っても無駄なのが分かって座り直す。
威圧を含んだ強い口調に負けたのもある。
「賭けをしよう。りら、好きでしょ?
ババ抜きで、アンタが最下位になったら皆をすぐに許しなさい。」
喋りながらカードを配っていくきとりちゃん。
確かに私は賭け事が嫌いではない。
負けた時のペナルティも重くはない。
そもそも、一緒に暮らしてて毎日のご飯もちゃんと作っているのに、本当に苦手な訳ないじゃないか。
だから、殆どノーペナルティと変わらない。
「私が勝ったら?」
乗るのは構わなかったけど、他の人が負けた時はペナルティ無しなんて言わせない。
それを聞いたらやる、と言うように配りきったカードに手を伸ばした。
「そうだね。アンタより、抜けるのが遅かった人には、ツッキーにやったみたいにビンタで。…それで、どちらにせよチャラ。許してやってね。」
「…了解。」
たかがトランプのゲームだし、ババ抜きは半分近く引くカードの運だ。
私は負けても構わない。
周りは勝手に罰ゲームが付いた事で真剣な顔で、カードを眺めていた。
私も同じようにカードを見て、揃っているものを抜いていく。
手元に残ったのは、なんと一枚。
但し、ジョーカーだった。