第15章 ゲーム
少しだけ後悔するものの、目の前の彼女は気にした様子も無く、他には誰もいないリビングを見回す。
「…皆は?」
「ご飯食べ終わったから自由行動中。」
「明日、昼までオフの奴いる?」
「月島くん以外はオフの筈。」
「…月島、くん?あら、アンタのお気に入りはツッキー?」
「いや、違うから。ただ、タメなんだし、普通に話して良いって言われただけで。」
「…ふーん。」
話が変わってしまうと、次々に飛んでくる質問に答えるのがやっとの状態になった。
何だか納得していないような顔をしている。
そうやって会話をしている内に、声に気付いたのか皆がリビングに揃った。
きとりちゃんは誰にも連絡せずに帰ってきたようで、人が入ってくる度に驚かれている。
どうせ、飲み会が始まるのだろうと予想して、キッチンに入った。
「いや、でも意外だったわ。まさかのツッキー。」
「…僕がどうかしました?」
「ん?だって、ほら、あのコと水と油みたいだったじゃん。仲悪いの、周りから見ても分かるくらい。」
「それが、何か。」
「嫌よ嫌よも好きの内ってヤツ?」
「まぁ、嫌いじゃありませんよ、りらのコト。」
向こう側から聞こえる会話は、きとりちゃんの勘違いで進められている。
月島くんも面白がってるのか誤魔化すだけで否定しないし、ここで私が何を言っても火に油を注ぐようなもので、黙っているしかない。
「ツッキー!りらちゃんは皆のモンなんだかんな!」
「俺は平等に付き合えるようにしてきたつもりなんだけど、月島には理解出来てなかったかな。」
「とにかく、アイツに関しては抜け駆け禁止だからな。」
自分の話だから気になって聞いていれば、皆さん何か忘れてませんか。
「あれー?苦手なものに分類されてる人達が僕と対等だと思ってたんですか?」
私が言おうとした事は月島くんが先に言葉に出して、勝ち誇ったように笑っていた。