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第14章 苦手


さっきのは、赤葦さんが悪いからフォローなんかしない。
だけど、しつこくされているのは可哀想になってきて。

「…あ、一応言っておきますけど。二番目に苦手なものは黒尾鉄朗ですよ。」

つい、矛先を変えてやろうと別の人の名前を挙げた。

「なんで俺!?」

他の二人と一緒になって赤葦さん弄りをしていた人は驚いて私を見ている。

「悪ノリして、ブレーカーを下ろしたのは、見に行った貴方ですよね。」

理由を説明すると納得したようで、何も言い返してはこなかった。
今度は黒尾さんが標的になって色々と言われだした光景を、カウンターに肘を付いて眺める。

「…ま、本当に苦手とか嫌いな人がいたら一緒になんか暮らせないけどね。」

小さく言った独り言は、リビングの皆の騒がしさに紛れて、誰にも拾われる事なく消えた。

からかったり、茶化したり、そういったものに混ざる気はないけど。
何だかんだ言っても仲良く見える皆が羨ましかった。
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