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第14章 苦手


‐赤葦side‐

りらが、完全に怒っている。
まぁ、わざとやった事だけど。
今は別に嫌われても構わないよ。

特にりらは負の感情の方が強いタイプだと知っているから。
好きな事に対する興味より、嫌いなものに対する関心の方があるでしょう?

君が、俺達を追い出す事をしないと分かっているから出来たんだよ。

そんな企みがあるとも知らず、目の前に立つりらは相変わらずの無表情で。

「じゃあ、この情報を皆さんで共有して下さい。私の一番苦手なものは、赤葦京治である、と。」

怒りを表すように低い声で俺の望んだ言葉を放った。

悪い意味の方でも、一番の感情を俺にくれた。

「うぇーい、赤葦がフラれたぞー。」
「やーい、フラれ葦ー。」
「進んで嫌われにいくなんて、赤葦さん、頭ダイジョウブですか?」

りらは料理の片付けを再開しにいって、残った俺に掛けられる言葉はからかいばかり。
そんなもの、気にならないくらいの幸福感が今の俺にはある。

いつか、全ての感情の中で一番が俺になってしまえばいい。

周りのふざけた声は右から左に流して、カウンターからこちらを覗くりらを眺めた。
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