第14章 苦手
カチカチと何回か押してはみたものの、電気は点かない。
まさか、ブレーカーを見に行ったフリして下げてきたんじゃなかろうな。
冷蔵庫とか、どうする気だったんだ。
「…な、なぁ、りらちゃ…。」
「何ですか、同居人Aさん。」
近寄ってきた木兎さんをチラ見して名前も呼ばずに通り過ぎ、ブレーカーを見に玄関先まで歩いた。
予想通り、ブレーカーのレバーが下りていて呆れしか出てこない。
すぐにそれを上げてしまうとリビングに戻った。
室内には、正座している四人。
まぁ不服そうな顔をしている人もいるけど、何をしようとしているかも分かったので無視をしてキッチンに入る。
土下座なんか、寧ろ引くからさせてやらない。
冷蔵庫を開けると、まだ中は冷えていて安心したけど、少しくらい意地の悪い事をしてやろう。
次々と食材を取り出して、料理を作っていく。
何日分かも分からないような量を作るのは、流石に疲れたけど関係がない。
テーブルに並びきれずにカウンターの上にまで大量に作り上げられた料理に、皆は唖然としていた。
「悪戯でブレーカー落としたりするからです。冷蔵庫の中身、痛んでしまうので全て使いました。
…食べきって頂けますよね?」
作り上げた笑みを張り付けて、どうぞとばかりにテーブルを手で示すと必死に食べ始めた。