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第14章 苦手


そんな事があったのも忘れてしまった頃。
夏の暑い日、ゲリラ豪雨の注意報が出ていた。

「降りそうですね。」
「そうだね。」

昼間、たまたま家にいた赤葦さんと世間話程度に会話している。
空が一気に暗くなって、すぐに雨が降り始めた。

「ゲリラだから、すぐに収まるよ。」
「そうですね。」

五月蝿いくらいの雨の音がして、雷まで鳴り始める。

「雷は平気?」
「…はい。」
「少し返事が遅れたけど?」

人の揚げ足を取るような発言にイラッとはしたけど、認めるようで癪だから睨むのは止めておいた。
駄目なのは、雷じゃないし勘違いされても困る。

雨足が弱まらない内に、木兎さんと黒尾さんが帰ってきた。
傘を持っていなかったのかずぶ濡れで、すぐ止むんだから雨宿りしてくればいいのに、と思った。

「良かったっスね。」

濡れた頭を拭いている木兎さんと黒尾さんに赤葦さんが何か言っている。
二人とも意味が分からず首を傾げていた。

「りらの苦手なもの、見られるかもしれませんよ。」

今、苦手なものに赤葦さんが追加されましたよ。

気付かれないように少し睨んだ。

「…え?何何?りらちゃん、もしかして雷苦手?」
「あぁ、そういうのは駄目なんだな。…怖かったら抱き締めておいてやろうか?」

赤葦さんの言葉を聞いて嬉々としている二人。

「いや、雷は平気です。」
「…雷'は'?」

また揚げ足を取られた。
今度は黒尾さんだったけど、答える義務はないから黙っておく。

この場にいると、苛々しそうだったから早いけど食事の準備をしようとキッチンに入った。
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