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第14章 苦手


「ズリィー!赤葦もツッキーも何でりらちゃんの苦手なもの知ってんだよ!」

よく分からない対抗心を持って騒ぎ始めた木兎さん。

それは、記憶力と洞察力の問題だと思う。
言ったら騒いで面倒な事になりそうだから言わないけど。

「何も知らねぇのは俺と木兎だけだな。じゃ、どっちが先にりらの弱点見つけるか、勝負すんぞ!」

続いた黒尾さんもロクな事は言っていない。
完全に渦中の人となってしまい、呆れと諦めを混ぜた息を吐いた。
結局、面倒な事になってしまった。

「虫、は虫類、両生類…というか哺乳類以外の動物全般。食べ物ならコーヒー、フルーツ以外に、川魚とハチノコ、イナゴ。他には…。」
「待て待て待て!」
「りらちゃん、なんで言うんだよ!俺達の楽しみ減るだろ!」

さっさと終わらせようと自分の苦手なものを並べていると、黒尾さんに口を塞がれる。
楽しみを減らそうとして言っているのが分からないんだろうか。

「嫌な事は嫌だと言っていいって言われてます。こんな馬鹿馬鹿しい、面倒な事には付き合いきれません。」

黒尾さんの手を外してきっぱりと断った。

「苦手なものに、木兎さんと黒尾さんを追加しますね。」

にっこり、ともう定番になった不機嫌笑顔を向ける。

「…あーあ。嫌われちゃいましたねぇ。」
「二人が悪いんだから、仕方ないね。」

「「ツッキー!赤葦!ちょっとはフォローして!」」

慌てた二人の叫びのような声がリビングに響いていた。
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