第13章 月島さんとデート
スポンジケーキだとか、水分を吸収する食べ物を急いで食べる、なんて。
どうなるか分かっていた筈だ。
案の定、喉に詰まり掛けて口を押さえる。
「別に急かしてないケド。」
呆れた、と言うより馬鹿にした顔で私の事を見下ろす目。
ゆっくりと立ち上がって、何処かへ行ってしまった。
何とかして口の中の物を飲み込み、残りのケーキをフォークで切り分ける。
だけど、口には運べなかった。
もう食べたくない。
「…はい。」
目の前のケーキと格闘していると声が聞こえた。
皿の真横に水の入ったグラスを置かれる。
気を遣って取ってきてくれたのか。
意外に優しい所があるんだな。
「こんなトコで窒息でもされたら僕が恥ずかしいからね。」
前言撤回。
優しくは、ない。
照れ隠しかと思ったけど、完全に馬鹿にした顔をしている。
お礼を言う事も無く、水を口に含んで水分を補給する。
そのお陰で、残ったケーキを完食する事が出来た。
「帰りましょうか。」
やっぱり、この人と2人でいるのは無理だ。
早く帰りたくて立ち上がる。
「そんなに慌てなくても良いデショ。少しはゆっくりしたら?」
私の気持ちに反して、月島さんの方は帰る気がないと示すように椅子から動かなかった。