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第13章 月島さんとデート


いつも通り食材の買い出しをして、家に戻る最中の出来事。
商店街の端で何やらイベントをやっていた。
よくある、幾ら分のレシートで抽選というやつだ。
景品に目ぼしいものはないし、あった所でどうせ当たりはしないと思ったけど、貧乏性の私はついやってしまった。

結果、欲しくないもの程よく当たるようで。
手に入れてしまったスイーツバイキングのペアチケット。
友達らしい友達もいない私には無用のものだ。

誰か彼女とか友達とでも行って貰えないものか、と思って家に帰るとリビングのテーブル上に放置した。

大して興味もなかったし、自分が行く気もない。
食事の用意をしている内に、チケットの事など忘れてしまっていた。

「…これ、君の?」

キッチンにいると後ろからピラっと顔の前に出された紙。

「行くのでしたらどうぞ。差し上げます。」

声で誰かは分かっている訳で、振り返りはせずに答える。

「これ、ペアなんだよね。」
「はい、だから差し上げますので彼女かお友達とでも行って下さい。」
「君のものだよね。」
「差し上げたので、月島さんの物です。」
「君ってさぁ、鈍いよね。」

わざとらしい溜め息が聞こえる。

いくら鈍くても流石に私を誘っているのは分かる。
でも、叩いてしまって以来、嫌われている気さえする人と出掛けるとか無理。

はっきりとした誘い文句を言わないのは断った時に、誘ってないけど、なんて誤魔化す為だろう。
狡いな、この人。

「月島さん、ちゃんと誘って頂ければお付き合いします。断られるのが怖くて遠回しにしか言えないんですか?」

嫌味を言ってやろうと思ったけど失言してしまった。
付き合うって口に出している。

「そう。じゃあ明日の午後なら時間あるから一緒に行くよ。僕が帰るまでに支度済ませておいて。」

気付かないでくれ、と願ったけど、しっかりと聞かれたようで、もう行く事も日も時間も決められていた。
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