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第12章 赤葦さんとデート


‐赤葦side‐

りらを昔から知っていたのは本当。
でも、会話をした事があった訳じゃないから知らなかった。
こんなに鈍いなんて。

木兎さんの、あの分かりやすい好意にすら気付いている気配が全くない。
この分だと、贈り物には意味がある事でさえ、分かってくれないだろう。

渡した箱を指先で摘み、意味が分からない顔で見ている。

「口紅、ですか。」
「そう。前に、借りて返してなかったからね。黒尾さんに落書きされた時の。」

きっと、受け取る理由がない、とか言って返されてしまうだろうから、説明を口にして。

「でも、わざわざ買って頂かなくても…。」
「返されたら困るよ。俺が使う物じゃないからね。」

返品を受け付けないように言葉を重ねた。

「…有難う御座います。」

迷ったように空いた間は、拒否を続けるか考えたから?

「…でも、返しませんよ。」

予想は見事に外れて。

「口紅のプレゼントは、ココから少しずつ返して、でしょう。」

場所を示すように唇を触っているりらがいた。

「…そんな意味があったんだ。知らなかったよ。」

あえて反応を遅らせて首を振り、誤魔化して見せる。

「そうですか。」

深く突っ込もうとしないのは、俺の言動に興味が無いからか、知らなかったのだと納得したからか。

聞いてくれたら答えてあげたのに、残念だ。

本当は意味を知っていて、りらの唇を狙ったんだよ、って。

そんな事を言ったら、君は軽蔑するだろうけど。
多少、強引にいかないと、他の梟に取られてしまうから。
そろそろ、本腰入れさせて貰おうか。

覚悟しろよ、りら…。
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