第1章 始まり
会話のきっかけが出来ると生き生きしたきとりちゃん。
「りら、昔から大人びてたのよね。子ども特有のはしゃぎ方しないって言うか、さ。
酒の強さは慣れもあると思うけど、血筋じゃない?りらの所、両親揃って強いから。」
私の代わりに二人と同時に会話を始めた。
酔いもあってか、よく喋る。
変な情報を吐かれている訳でもないし、話に加わるのも面倒で黙って見ていた。
一時間程喋ってやっと、マシンガントークが収まった。
本人が潰れた事によって。
「血筋、ね。りらだっけ?血、繋がってんだよな?」
眠ったきとりちゃんを抱き上げ、ソファーに寝かせた黒尾さんがこちらを見ている。
「きとりちゃんのお母さん、私の伯母が一切お酒飲めない人です。血が繋がっているのは伯父の方なので。」
説明するように答えた。
家系図でも書かないと分かり辛いとは思うけど、理解してくれたようで、ふーん、と興味無さそうな返事が戻ってくる。
「…あ、さっきから喋らねぇと思ったら赤葦も寝てら。」
言葉に反応して赤葦さんを見ると確かに眠っていた。
少し乱暴に絨毯の上に転がして毛布を掛ける黒尾さん。
眠っている人達の様子を確認してから私の隣に座り、出しっぱなしでぬるくなってきた缶を手に取った。