第1章 始まり
それからは、酒の場というのに長い時間無言。
元々、一緒に暮らせる程の仲である三人も会話すらせず時間だけが過ぎていく。
「…暗い。」
「もう夜だから。」
空気に耐えきれなくなっただろうきとりちゃんの言葉にも冷たく返した。
「あ、そういえば紹介してなかったよね。コレ、私の後輩の黒尾鉄朗。で、こっちが…。」
「赤葦京治さん。知ってる。」
めげずに会話をしようとする人を一瞥して眠っている人達に顔を向ける。
「あっちのテンション高い人が木兎光太郎さん、金髪眼鏡さんがツッキー…って呼んでたね。」
「そうそう。月島蛍くん。アンタと同じ年じゃないかな?」
さっき聞いていたから、なんとなく同い年だろうとは思っていた。
まぁ、4月初め生まれの私は誕生日越えてるから二十歳なんだけど。
「ツッキーと同じって未成年?そんな酒強くて?落ち着きもありすぎじゃね?」
それに反応したのは黒尾さんで。
「いや、このコは二十歳。誕生日過ぎたし。」
やっと会話らしい事が出来て安堵したきとりちゃん。
あまり話したくないのに話は広がってしまったようだった。