第12章 赤葦さんとデート
暫く黙ったまま歩き続けていると、少し先の通りで屋台が並んでいるのが見えた。
「あぁ、今日は1の付く日でしたっけ。」
思い出したように呟いた私を赤葦さんが見ている。
「あの通り、1日、11日、21日とかの1が付く日は縁日やるんですよ。31日は無いですけど。」
少し先を指差して答えると、納得したようにそちらを眺めていた。
まだ、学校のやっている時間の為か人は少ない。
「見ていきますか。さっきの話からすると、これ、デートですよね。ただ歩き回る散歩よりは、らしく、なると思いますよ。」
「そうだね。」
思い立ったように提案をすると、すぐに肯定が返った。
何故か当たり前のように手を握られる。
子どもじゃないんだから、わざわざ掴まなくても迷ったり、はぐれたりはしない。
まず、まだ閑散としている縁日では、はぐれようがない。
「…あの、まだ人も少ないので、はぐれないと思いますけど。」
「デートなら、これくらい良いかと思ったけど。…俺と手を繋ぐのは嫌?」
あぁ、そうか。
デートっぽくしたかっただけか。
そういえば、木兎さんも手を繋いだし、黒尾さんなんか肩を抱いてきたっけ。
平等というなら別に構わないと判断して手を握り返した。