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第11章 黒尾さんとデート


‐黒尾side‐

りらは料理が好きだ。
ただ、作る事が好きなだけじゃない。
目新しい料理を見たり、食べたりして研究するのも好き。

本当に何回かしか外食なんざしてねぇけど、珍しい料理を率先して食べようとするし、食べた後は何か…多分、味付けだとかの事を考える仕草をする。
木葉と電話してんの、たまに聞いたって半分以上は料理の話だ。
自分以外の男に食わせる為の料理を教えるアイツはアイツで不憫だよな。
ま、その不憫なヤツにも料理の面では敵わねぇの分かってる訳で。

だから、こういう自分じゃ絶対に来れないような店の味を経験させてやりたかった。
料理の腕で敵わなくても、俺には色んな店を紹介してやる事が出来る。

口に出して言ったら、余計なお世話だの、専門は和食だから関係ないだの、可愛くねぇ事を言い出しそうな女だが。

今、目の前で嬉しそうに料理を見たり食べたりしている姿を見ると、連れてきて良かったと思える。

木葉に少しだけ対抗心が芽生えた事は内緒にして、他のヤツがいない、2人きりの食事を楽しんだ。
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