第9章 再会
当たり前のように個室に入ってきて、木兎さんを押し退け私の目の前に座る。
「俺も混ざってい?交代の時間なったから、上がらせて貰ったし。」
途端に部屋の中に緊張が走った。
「おー!木葉と飲むの初だよな!まぁ飲め飲め!」
すでに酔っている木兎さんは、その緊張感に気付いてないようで自分のグラスを木葉さんに押し付けている。
それを上手く避けて店員を呼び、自分の飲み物を注文していた。
すぐに運ばれてきた飲み物を手に取り、私の方に向けてグラスを掲げている。
「それ、乾杯って言葉使うと怖いですよ。」
私をチラっと見ながら余計な事を言うのは月島さん。
「言っても良いですけど。今の状態の皆さんが杯(サカズキ)乾かせると思いませんね。」
「うち、一気飲み禁止。色々問題になってっから。」
「確かに学生の無茶な飲み方は度々ニュースで見ますからね。…そっちの二人はやってましたけど。」
赤葦さんが、木兎さんと黒尾さんを指差すと木葉さんは横を睨んだ。
「倒れてねーからオッケー。もうやんなよ。」
釘を指すように言ってから私の方を向き直して強引にグラスを当ててきた。
「じゃ、俺は仕事上がりだからオツカレサマって事で。」
また昔と同じ笑みを見せて飲み始めた。