第9章 再会
久々にちゃんと見た顔は昔と変わらず、細い目が私をじっと眺めている。
「…後で話せるか?」
ただ頷くだけで答えた。
「じゃ、また後で。」
にっ、と歯を見せて笑う仕草も昔と同じで、今の私には直視出来なかった。
会いたくなかった訳じゃないし、誤解は解いておけと言われたのにも納得はしていた。
だけど、嫌な事は嫌だと言うようになったとはいっても、それはこの人達に馴れてきたからであって。
根本的な自分は何も変わっていないし、何より気落ちしている今日という日に再会させられるなんてタイミングが悪すぎる。
「そんなに俺の事嫌い?」
顔を背けてしまったから、勘違いされたらしい。
それは違うという事は伝えたくて、必死に首を振る。
「相変わらず、あんま喋ったりしねーのな。…お前のそういう性格、分かってて、なんであん時、俺は逃げちまったんだろうな。」
ちゃんと‘あの言葉’の意味を聞けば良かった、と呟くように言って木葉さんは仕事に戻っていった。