第9章 再会
少しすると、廊下を歩く足音。
飲み物が来たと思って入り口の襖に顔を向けた。
その襖が開いて、見えた顔に慌てて赤葦さんの方を向き直す。
隠して欲しいと頼むように腕に額を押し付けると意図に気付いたようで、肩に腕が回ってきた。
赤葦さんの胸に顔を当てて目を閉じる。
「おー!木兎、赤葦、黒尾…と、誰だっけ?」
「…烏野の月島です。まだ数年なのに、もう忘れちゃったんですか?」
聞こえる声に心臓が跳ねた。
早く会話を終わらせて戻ってくれと願うばかりだ。
「あー…。悪ぃ、忘れてた。で、この子は?赤葦の彼女?」
その人の興味は私に回ってきたようで、こちらを見ているだろう事は分かる。
答えられなくて赤葦さんにしがみついた。
「このコ、俺等と一緒に暮らしてる…。」
「「「木兎」さん!」」
私を紹介しようとした木兎さんを止める三人の声が重なる。
サプライズを仕掛けた本人以外は私が嫌がっている事に気付いているみたいだ。
「すみません、木葉さん。彼女、初対面の人は苦手なので。」
赤葦さんの腕に力が籠る。
必死に私を隠そうとしてくれる気持ちが嬉しかった。