第9章 再会
嫌だと思っていても時間は経ってしまうもので。
予約時間近くになると、皆で家を出た。
私を入れても平均身長180越えの集団は目立つ。
外を歩いている間は人の視線が気になって、木兎さんの笑顔の意味を考えている場合じゃなくなっていた。
着いた先は和食レストラン。
成程、私の専門は和食だから勉強になると思ったのか。
一安心して、店の中で通された個室に入る。
席は堀ごたつになっていて、体格の良い人達が座っても大丈夫そうだ。
六人掛けのテーブル、私は注文のしやすい入り口側に座る。
横は赤葦さんでその隣に月島さん、前には木兎さん、その横に黒尾さん。
体格で考えるとこの席順は妥当だと思う。
木兎さんが入り口側を譲らなかったのは不思議でならないけど、単なる気分だろうと気にしない事にした。
先に飲み物の注文をして、店員さんを見送ろうとした時、木兎さんが何かを話していたのが見える。
その人が去ってから目の前の人に問い掛けた。
「何を話してたんですか?」
「内緒。すぐ分かるって。」
悪戯げに笑う顔。
また嫌な予感が頭を掠めて顔を隣の赤葦さんに向けた。
「どうしたの?」
「木兎さんが何かを企んでいるような…。」
「ヒドい!りらちゃんにサプライズしようとしてるだけなのに!」
優しく聞いてくれる人に疑問を投げ掛けると前から五月蝿い声。
何のサプライズだかは分からないけど、嬉しいものである気が全くしない。
赤葦さんと会話をするフリをして、横を向いたまま無視をした。