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第8章 いってらっしゃい


血が繋がっているのは私だけなのに、あの人達の方がよっぽど家族に見える。

私には入り込めない場所のような気がして、家に引き返そうとした。
だけど、すぐに気付かれてしまってボールを打つ音が聞こえなくなる。

「おーい!りらちゃんもこっち、来いよ!」

振り返ると、ボールを片手で持っている木兎さん。
きとりちゃんや黒尾さんも手招きしていて、他の二人も嫌そうな素振りはしていない。

‘この輪の中に入っておいで’
そう言われた気がして嬉しかった。

「…今、何時だと思ってるんですか。ご飯食べますよ。帰ってきて下さい。」

照れ臭くなって自分からは歩み寄れず、逆にこちらへ呼んで先に歩き始める。
すぐに後ろから数人分の足音が聞こえて並ばれた。

「なぁなぁ、今日の晩飯何ー?」
「今日はローストビーフとポテトサラダです。」
「ローストビーフって自宅で作れるもんなのかよ。」
「逆に家庭のキッチンで作れないもの、ってあります?」
「あ、出来る人の理論だ。りらは料理に関してはプロ並みだもんね。」
「…一応、元プロ。専門は和食だけど。」

会話をしながら家に戻る。
皆でリビングに入ると食事の時間が始まった。
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