第7章 アルバイト
隠すべき所は隠れているし、気にしていなかった。
それが、良くないらしい。
「こういうの、ダメなやつでしたか?」
「どう考えてもダメだろ。襲いたくなる。」
相変わらず、ちょっと飛んでる私の考えは裸を見られる羞恥心が薄い。
前にも見られてるから良いと思った自分が間違っていた。
「すみません。分かりませんでした。」
「…あー、良いよ。もう。俺も頭流して来る。」
呆れた顔をして横を通り過ぎる瞬間、小さな声が聞こえる。
「お前、好みのタイプだっつったろ?こんな場所で、んな格好見せられたら…な。我慢してんだぞ、これでも。」
何を、なんて野暮な事は聞かなくても分かっている。
別にしたって構わないけど、それは他の皆に嫌われる行為だからしないだけで。
こういう事を考える時点で、狂った貞操観念が普通に戻るのは程遠い。
自分を嘲るように口元を歪ませて、髪を乾かして着替えた。
まだ黒尾さんは戻って来ないようで、部屋の中を見回す。
その為だけに作られているこの空間は、意識しないようにすればする程にいやらしく見えた。
ベッドをなるべく見ないように顔を背けて、携帯を取り出す。
時間潰しにアプリで遊んでいると、黒尾さんが出てきた。
途中だったゲームをすぐに終わらせて立ち上がり、早く出ようと急かす。
この場所に長くいたら黒尾さんと関係を持ってしまいそうで怖かった。