第1章 始まり
そんなツッキーさんは、早々に潰されて、こちらに木兎さんが来た。
「あかーしー、飲めよー!」
自分の飲み掛けを無理やり赤葦さんに押し付けようとしている。
「木兎先に潰すか。」
「そうですね。正直、相手しながら飲むと倍増しで疲れます。」
トサカと赤葦さんは何やら不穏な空気を纏い始める。
赤葦さんが適当に缶を掴んで木兎さんに差し出した。
「木兎のイイトコみたーいー!」
トサカが手拍子を始める。
それに合わせて赤葦さんも手を叩き始めた。
これ、一気コールだ。
危険だからやらせない方が良いと思うんだけどな、なんて考えても止める事はせずに様子を眺める。
間もなく木兎さんは潰され、絨毯の上に転がされた。
私も正直、あの騒がしさは疲れるから苦手で少しほっとする。
「じゃ、仕切り直すか。」
潰れた二人を端に寄せて、毛布を掛けてから戻ってきたトサカと赤葦さん。
やっと二人とも缶を手に取って開けた。
「「乾杯。」」
二人揃えたように同時に言葉を発する。
「乾杯って字の如く杯(サカズキ)乾かすように飲んで下さいね。」
挑発をしながら最早何本目かも分からない空になった缶を置いた。