第1章 ふしぎ遊戯 井宿
その表情はいつもの笑ったお面なはずなのに
どこか違う雰囲気に感じた
いつの頃からだろう師匠を一人の異性として
意識し始めたのは・・
この課題を成し遂げる事が出来た時は
告白しようと密かに心に決めていたは
一人黙りこんでいた
『もしお面を取る事が出来たならばの実力を認め、一人立ちさせるつもりなのだ、だから頑張るのだ。』
『!?』
それはつまり、お別れになると言う事?
そんなの嫌だ、好きなのに
離れなくてはいけないなんて絶対に嫌・・でも
それでは芳准を失望させてしまうかもしれない
失望されたくはない、けれど
離ればなれになるのはもっと嫌
もう一人にはなりたくない。
『?』
『私、今日は先に失礼します。』
背を向けるとそのまま横になってしまった
に芳准は近付くと
そっと毛布をかけお休みと
囁くと少し離れた大木に
背を持たれかけ座ったまま目を閉じた。
それから数時間がたった頃
早めに寝入ってしまったは
まだ日も上がらない深夜に目が覚めてしまうと
むくりと体を起き上がらせる
辺りを見渡すと
側の大木に持たれて眠る芳准の姿に
チャンスと思いゆっくり、音を立てないよう
近付いて行く・・
あと数センチの距離まで近付いた所で
芳准の声に耳を奪われた
『香蘭・・』
『!?』
誰の名前?
ううん誰かよりも今の女性の名前・・まさか
芳准の恋人?そんなの信じられない
だってずっと一緒にいたのは私なのに
どうして違う女性の名前を呼ぶの
そんなの許せない、許せないよー・・
キーン
『!?』
『、何を』
気付いた時には体中に光が集まり
押さえ込まれていた力が集まっていた
それに気付いた芳准は驚き起きると
暴走しかけた力を押さえ込む為術を唱える
激しい突風と共に体を吹き飛ばされながらも
の力を押さえ込むと
弾みで落ちてしまったお面を気にも止めず
を抱きしめる