第1章 ふしぎ遊戯 井宿
一緒に旅をしてもうどれ程になるだろうか
師匠である芳准との旅で術の制御にも慣れてきた
けれど、芳准はどこか
壁を作っているように感じていた
毎日一緒にいるのに、彼の過去を何も知らない
何故笑ったお面を付けているのかさえ・・
『今日はこの辺りで野宿をするのだ』
『芳准様、いつになればお話頂けるのですか?』
『・・聞いて楽しい話ではないのだ』
『それでも私は知りたいです!私は芳准様の事をもっと知りたいのです!』
『ん~・・』
笑ったお面で困ったポーズを取る芳准に詰め寄るの額をコツンと指先で弾く
『わかった、では課題をこなせた時に話すのだ。』
『本当ですか!?』
『約束するのだ、でも課題は簡単ではない、今日から5日以内にこのお面を奪う事が出来たなら』
『分かりました!絶対奪ってみせます!』
それからというもの昼夜を問わず
は芳准のお面を奪おうと有りと
あらゆる手を使い試みても
アッサリとかわされてしまい
約束の日まで残り一日と迫っていた
『、食事くらいゆっくり食べるのだ~』
『ならお面取って下さいっ!』
『おっと』
手を伸ばしお面に手をかけた瞬間
芳准は姿を消し去り何処かへ身を隠してしまうと
拳を握り締めたはテーブルを叩き
苛立ちを隠せずにいた
そんな様子を影から見守っていた芳准は
頭のかさを深くかぶると静かに店から出ていったのであった
それから日も暮れた頃
今日も山深い森の中で野宿をする支度を済ませた二人は向かい合うように薪をはさみ腰をおろす
『今日で4日目なのだ、どうだまだ諦めるつもりはないのだ?』
『当然です、明日まで覚悟して下さい。』
『変わったな』
『えっ?』
『嫌、の元気な姿を見ると嬉しいのだ。』