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縁側で鼻歌を

第1章 誠心誠意頑張ります。


私は目の前が真っ暗になった。

そんなもの、私に務まるわけがない。
たとえどんなに審神者の仕事を学んだところで、それを共に実行する刀剣男子が1人もいない、というのは、
私が学んだ全てが無に等しいのと同じであって、その事実は僅かでも持っていた自信を打ち砕くには十分だった。

『私には…できません…。そんな大役、務まるはずがありません…。』
半ば無意識に口から出た言葉に、2人は目を伏せた。
しかしすぐに神宮寺さんは私に向き直る。

神宮寺「私の神力はもうすぐ底をつく。おそらく今の本丸の結界を解くのが最後だろう…。だが、私の愛した本丸を、最後に君に託したいと思ったんだ。」

『どうして…どうして私なんですか。』

神宮寺「…君は覚えていないかもしれないが…君は昔、私を助けてくれたんだ。君は娘の墓に伏せた私に、幼い君が声をかけてくれた。

お墓で泣くって事は、その人を大好きな証。だからたくさん泣いて、それからお墓以外ではお空に向かって笑ってくれ、と。」

私はハッとした。その言葉は紛れもなく、私のおばあちゃんの教えだったから。

両親を失った悲しみでどこでも泣いていた私を抱きながら、おばあちゃんは優しく言った。

"美月ちゃん、お父さんとお母さんのお墓の前で泣くのは大好きの証だから、いっぱい泣いていいんだよ。お墓はお母さん達とお話しできる場所だから、いっぱい悲しいって言っていいの。
でもね、お話し出来ないお墓以外の場所で美月ちゃんが泣いてると、お母さん達はなんで泣いてるか聞こえないから心配になるの。だから、心配かけないためにも、お墓以外の場所では出来るだけ笑ってあげようね。"

その話を聞いてからは、お墓参り以外では泣かないようになった。


その頃に、私は神宮寺さんと会っていて、それを言ったってこと…?
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