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縁側で鼻歌を

第1章 誠心誠意頑張ります。


キャリーバッグの取っ手に熱が篭り出したところで、目の前の壁が光を放った。
眩しくて目を閉じ、やがて視界が開ける。


目の前に現れた大きな鳥居を、紫色の半透明の壁が塞いでいた。
"ああ、とうとう着いてしまった。"
自然とそう思っていた。

神宮寺「これが、前任者の審神者の結界だよ。」

目を伏せる神宮寺さんと、険しい顔の黒絹さん。
結界の色の毒々しさに声が出なかった。


神宮寺さんから結界の張り方を聞き、言われた通りに唱える。
耳から抜ける自分の声が、見知らぬ声のように聞こえた。

それでもスラスラと勝手に動く口と、淡く光を帯び始める掌。
相変わらず呪文を唱えながら震える手でその掌を鳥居の中へ押し当てると、まるで波紋が広がるように白い膜が広がり、紫色の壁の上に貼られていった。

驚いて目を見開く私の肩を、神宮寺さんが優しく叩いた。

神宮寺「良く頑張ったね。さぁ、これが、君の結界だよ。…ああ、なんて暖かな色だろう。」

私の掌から現れた結界を優しく撫で、そして神宮寺さんは私に護符を差し出した。

これを受け取れば私は、ここに入らなければいけなくなる。
そしてここに入ればその瞬間、私は刀剣男子の命を握る審神者となる。
…改めて、責任の重い瞬間に心臓がドクリと跳ねた。


ここには息絶え絶えになった人が沢山いて、助けられるのは自分だけ。

自身にそう言い聞かせて心を奮い立たせた。
護符を受け取り、神宮寺さんに見守られながら、
黒絹さんと共に鳥居の中に踏み入れる。


すると早速、手に持っていた護符がポンと弾けた。
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