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縁側で鼻歌を

第1章 誠心誠意頑張ります。


『はい、何でしょうか?』

穏やかな笑みを浮かべる神宮寺さん、
頭を抱えるような暗い顔の黒絹さん。

2人を見比べながら神宮寺さんの言葉を待つ。


神宮寺「1つは、君にはこれから審神者となってもらうわけだが、行ってもらう本丸は決まっているということ。

もう1つは、そこは長く続く本丸で、けれどもう長く審神者が居ないということ。」


『え?あの、どういう…』

自らの力で刀に姿を与えて、それを契約として、少しずつ仲間を増やして、絆を深めて共に戦う…
それが審神者ってものじゃないの?


黒絹「それについては私が説明します。」
戸惑う私に黒絹さんは眉を下げながら申し出た。

黒絹「実は、我らの管轄の本丸の中に1つだけ、最も長く続く本丸があります。ですがそこは…訳あって、審神者の入れ替わりが激しいのです。」

『入れ…替わり…?』
そんな事、聞いた事がない。

黒絹「本来刀剣男子は審神者の持つ神力によって人の姿を保たれています。本丸に入るとまずは審神者によって結界を張り、その結界によって刀剣男子が生活するための空間…いわば刀剣たちの酸素を生み出すわけです。
そして、本丸から審神者が去る時……ほとんどの場合は寿命、または政府の上官となり後継に引き継ぐ場合。その場で結界を解くのが審神者の最期の務めです。」

黒絹「しかし、この本丸の主は初めの主を除いて皆、結界を解く事なく本丸を去ってしまった。」

『結界を…解かず…?』

黒絹「はい。結界を結ぶには審神者の強い意志がいる。この本丸を思う気持ちを決意として。
しかし、ヒトの思いはいずれ何らかの形を変えます。

…審神者の本丸に対する思い1つで、結界は刀剣男子を繋ぐ鎖となるのです。」
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