【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~
第8章 慣れよう。
セリシアside
「あ、これよくない??」
「え?どれどれ?」
「ん、いーんじゃない??セリシアに似合いそー。」
ヤムお姉ちゃんが見せたのは、ワンピース。
黒ベースのワンピースは、ウエストにピンクとラメが入ってる。
その部分だけゴム状になってるみたいで、しまってる。
よくあるワンピースじゃなくて、なんていえばいいのかな。
ウエストのゴム状のところが、ベルトの役割をしてるっていうか。
「着てみてよ!」
「そうよ。試着室あるみたいだから。」
「いや、でも私太いから絶対に合わないって!!」
「いいからいいから。」
背中を押されてとりあえず着てみることに。
似合わなくても笑わないでよねー。
ってわけで、着てみることに。
「・・・ど??似合わないでしょ。」
少々投げやりにいう。
だって似合ってないもん。
鏡見たからわかる。
「んー??」
「セリシア、帽子取ってみてくれない??」
「なんかね、可愛いんだけど帽子が邪魔してるっていうか…。」
「えー。帽子取るの??」
いつもつけてる帽子を外すのは、正直気が進まない。
その中には髪も入れてあるし。
「っていうか、多分どの服着てもその帽子は似合わない気がする。」
うっ。
・・・それは、この帽子をもらったときから思ってたことだ…。
「うーん・・・。」
「ねえセリシア。その帽子に何か思い入れでもあるの??」
「あるよ。私お兄ちゃんがいるんだ。今どこにいるかは知らないけど、互いに旅に出るとき、くれたんだ。」
今頃兄はどこにいるのだろう。
広い世界だ。
もしかしたら一生めぐることもないのかな。
「んー。でも、お願い!一回でいいから。」
「うー。わかった。」
今まで、お風呂に入るとき以外は帽子を取ってなかった。
寝るときだってつけてたし。
帽子を取ると、中にしまってた髪がふわっと降りるのがわかった。