【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~
第31章 あとがき
セリシアside
「私何も買ってないから…渡せるもの無いなーって思ったんだけど、私のやつならあるって気づいて。」
「…セリシアのもの?」
「うん。…重過ぎるとは自分でも思うけど…。」
でも、なんだろう。
やっぱり渡したいって思った。
すぐに服の中にしまっていたペンダントを取りだす。
首に掛けてたのを外して、手にもつ。
「これ。」
「…それは…」
ママから継いだ、巫女の証。
私の宝物。
旅の時もこれだけは売らないで捨てなかった。
「さっ、さすがにそれは受け取れませんよ!」
私がこれを大事にしていることを知ってるジャーファルは、すこし慌てて返してくる。
巫女の力を制御する力もあるペンダント。
でも普通の人が持っても悪影響は無い。
私が持たなければただのペンダント。
「覚悟。…私の覚悟だから。」
「…覚悟?」
「うん。私の大事なものだよ、確かに。でもそれをジャーファルに託す。…いつか取りに来るから、それまで持ってて欲しい。」
わがままだろう。
それをずっと持ってるということは、私のことをずっと待ってて欲しいということだから。
そして、絶対にここに帰ってくる気持ちだから。
「…だめ、かな?」
「…そんなわけ、無いでしょう?」
ジャーファルの手に握らせると、今度は少し悲しそうに微笑みながら…気のせいかな、彼の目が少し潤んでいるように感じて。
…それでもちゃんと受け取ってもらえた。
そしてそれが私達2人…最後の時間の終わりだった。