• テキストサイズ

【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~

第7章 ひと段落、したと思ったら。


ジャーファルside


ついさきほど、シンも部屋にやってきて、様子を見に来た。
やはり何の反応もない。

「お前、こいつについていてやれよ?」

「もちろん、そのつもりでございます。」

そういうと、満足そうな笑みをして部屋を出て行った。

「お前、セリシアに変な気を起こすんじゃないぞ??」

とか笑いながら。
あなたじゃないのだから・・・。
とあきれていたのだが、そんなことはすぐにどうでもよくなった。

「・・・ぅ・・・ぁ・・・」

声がしたのだ。
かすかすぎて、よく聞き取れないような声で。
そして、その方向を見ると、セリシアさんの方向。

「セリシアさん!!」

声という声ではないし、反応も見せない。
ただ、ひたすらに苦痛な顔をしてうめき声をあげる。

「や・・・だ・・・た・・・す・・・け・・・」

必死になって動こうとするようにみえるが、何も動いていない。

「セリシアさん!!」

自分にできることは、呼びかけることしかない。
それがなんだかとてももどかしい。

「こな・・・・・で・・・お・・・がい・・・」

何を言いたいんだ…??
わからない。
だけど、彼女は必死のようだった。

「ジャ・・・ファル・・・さ・・・」

今・・・。
今、自分の名前を呼んだ。
ベッドから出てきた彼女の手を、握る。
両手で、しっかりと。

「ジャーファルです。ここにいます。安心して。」

その声は、届いていないようだ。
だが、それでもいい。
すこしでも、ほんの少しでも、ぬくもりを感じてもらえれば。
苦痛な顔の彼女を、このままにしておく気にはなれなかった。
まるでなにかから逃れるような彼女を、そのままにしてはいけない。
はやく、起こしてやりたい。
でも、起きそうにない彼女を見ていると、ただただ、安心して欲しい、と思った。
/ 511ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp