【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~
第31章 あとがき
セリシアside
「…でも何よりも思うのは。」
一旦言葉を止めて呼吸をするジャーファル。
「貴女を独占したい想いがよくわかって嫌なんです。」
「は?」
何を言うのかと思えば、恥ずかしいとかそういうものじゃなくて思わず変な声がでた。
ど、独占欲?
「貴女の幸せを願うと言ったくせに、そういう意味で渡したらセリシア、貴女は苦しむでしょう?」
…否定はあえてしない。
でもそんな思いなんかより。
「私は素直に嬉しいよ?なんか…離れててもジャーファルが思ってくれてるって感じはするし。」
愛されてるって実感ができる。
それだけのジャーファルの覚悟が見える。
ジャーファルの性格からしても、テキトーな覚悟じゃないってわかるしね。
「…では、左手を。」
しゃがんだジャーファルは、私に手を出すよういいながら自身の左手もだす。
でもその左手は、まるでダンスに誘うような雰囲気を醸し出していた。
「…はい。」
ジャーファルの手の指先に自分の左手を添える。
どこからか小さな箱を取り出したジャーファルは、片手で器用に開けて中の指輪を取り出した。