【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~
第29章 39
セリシアside
「―――頼んだわよ。私はもう二度とあなたたちと言葉を交わすことはないのだから。―――」
「あ・・・そっか、そうだよね・・・。」
ママはもう、死んじゃってるんだもんね・・・。
だけど、もうくよくよしないよ。
デアルには攻められるかもしれないけど、私はもうくよくよしない。
ママの気持ちを優先する。
『ああ、そうだね。頼まれてあげるよ。・・・もっとも、我はデアルのそばにいることが多いけどな。』
「―――それで十分よ。むしろ、その方がいいわ。セリシアにはもうそばにいてくれる人がいるしね。―――」
・・・そばにいてくれる人?
デアル・・・は多分旅に出ちゃうよね?
「―――あら、気づいてないの?まあいいわ。むこうに戻れば、切り出してくれるでしょうね、きっと。―――」
『それじゃ、お別れのあいさつを済ませようか。』
そうだ、お別れだ。
二度と会うことはない。
もう、二度と。
今までと一緒だ。
それに戻るだけなんだ・・・けど。
「―――あらら。泣かないの。見守っててあげるから。ね?大丈夫だよ。一人じゃないでしょう?―――」
涙は、とめどなくあふれてきちゃったんだ。
やっぱり、悲しいよ。
もう二度と会えないってわかってて別れるのは、つらいよ・・・。