【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~
第29章 39
セリシアside
泣くのをこらえようとしていると、誰かが頭をたたいた。
優しく、まるでそこにいるから、と言ってくれてるように。
「―――優しいのね。そういう人がそばにいてくれてうれしいわ。・・・絶対ないと思うけど、一つだけ。昔の職種には戻らないでね。セリシアを泣かせないでよね?―――」
「もちろんです。戻りませんし、泣かせないよう努力しますよ。」
そう答えたのはジャーファルさん。
そしてこっちをみてにこっと微笑む。
「―――うんうん。いいことね。・・・ほら、セリシア。これでサヨナラだけど、ちゃんと見守ってるんだから。―――」
「うん・・・そだね・・・。」
ようやく涙が止まり始めた・・・というかそれなりに止まった。
「―――私の愛しい娘。誰も巫女のことを理解なんてしてくれない。だから心配だった・・・。でも、もう大丈夫で何よりよ。ただ、私が育ててあげたかったなーって欲が出ちゃうけど。―――」
最後に、と抱きしめてくる。
私もぎゅっと抱きしめる。
「―――・・・バイバイ。元気でね。幸せになりなさい。―――」
「うん・・・。バイバイ。ちゃんと見守ってね!!」
笑顔で答えることができた。
そして、シロナとジャーファルさんに行こうと目で示す。
理解してくれたようで、シロナは力をためるそぶりを見せた。
・・・と、やばい。
忘れてた。
「ママ!」
もう転送が始まってるのか、ママの姿もぼんやりしてきたけど、最後にと大きく呼ぶ。
「ありがとう!!大好きだからね!!!」
涙は出たけど、最高の笑顔で言い切った。
ママもにこっとわらったように見えた。