【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~
第29章 39
セリシアside
「それで・・・。けっきょく、帰りますよね?」
言い出すタイミングがなかったからか、私に確認を求める。
「―――帰りなさい、セリシア。私も見守っててあげるから。―――」
「・・・わかった。帰る・・。一緒に帰るよ。」
それが、ママにも嬉しいのだろう。
私が生きること。
それはママの望みにもつながってるはずだから。
「・・・でも、どうやってればいいわけ?」
扉はないし、そもそもどうやってきたかもよくわからないんだけど。
「え。普通にしてれば、帰れるかと思いましたけど・・・。」
確信が無くなってくのか、だんだん声が小さくなっていく。
「・・・つまり、ジャーファルさんは帰り道を知らないと?」
「・・・聞くの、忘れてました・・・。」
じゃあ帰れんじゃん。
決めといてこの仕打ちって、なんか・・・。
「―――んー。多分デアルのことだから、案内しかできないかもね。二人を連れて帰る方法なんて、忘れてるかも。―――」
デアル----!!!
「・・・。どうしましょう。」
困り顔のジャーファルさん。
そりゃそうなるわ。
「―――あら。そのために連れてたのかと思ったのだけど。違ったの?・・・だったら出てきなさい、妖精ちゃん―――」