【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~
第29章 39
セリシアside
「訳が分かんない。」
それが率直な気持ちだった。
「ええと・・・。セリシアさんを死なせたくなかったから、来たんですよ?」
どういえばいいのかと困り顔でジャーファルさんは言う。
・・・可愛いな、この人。
って、そうじゃなくて!
「なんで?だって、私を助けようとしてあなたが死んじゃったら本末転倒でしょ?私がいなくたってシンドリアはやってける。でもジャーファルさんは違う!」
「それはすでにもう違いますよ。あなたがいなくては、ダメです。」
「ダメじゃない!だから・・・ね?帰って。連れて帰るってことは、帰り道は知ってるんでしょ?危険を冒さないで。安全な道で、帰って。」
切に願う。
二人で帰って、どこかまた別の空間に紛れてしまったら。
それこそどうなるかわからない。
「嫌です。」
なのにその気持ちを無視してはっきりと答えるジャーファルさん。
「なんで?」
「何でって・・・。そりゃあ、決まってるじゃないですか・・・。」
どうしてそこで赤面?
今度はジャーファルさんが私から目をそらす。