【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~
第28章 助けたい想い
ジャーファルside
「セリシアを救うために俺が考えるのは、呪術と俺の体質を利用したやり方です。」
時間がないからなのか、焦っているからなのか。
少し早口で話が進む。
『デアルの体質ってのは、条件付きではあるけど、その人の魂のそばに行くことなんだ。』
「わかりにくいかもしれませんけど、そういうことです。この現状で言うのであれば、セリシアの魂のある場所へ案内することができます。・・・ただ、案内することしかできません。」
『ヘルンスの巫女のちょっとした力の遺伝体質だね。男性にはよくあるらしいよ。』
それだけでもすごいと思った。
異次空間といったかな。
あそこへの生き方はこれでわかる、ということですね・・・。
「俺は、その巫女の体質を継いでるんです。媒体とされるほかに、別空間にはいけないようにされている。理由なんてわかりませんけどね。」
『まあだから、道を示すことしかできないってわけ。』
「ですから・・・。危険な役目ですが、あなたに異次空間に行ってもらいたいのです。もちろん、危なくなったら呪術の力で無理やりにも元に戻します。こちらから送った人であれば、何も変わらない限り簡単に戻せるはずです。・・・それでも、危険なことですが・・・。」
苦しそうに言うデアルさん。
握ったこぶしを震わせる。
それだけ、怖いのだろう。
断られるのではないか、失敗するのではないか。
怖い思いは、して当然でしょうね。