【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~
第28章 助けたい想い
ジャーファルside
「セリシアっ!!!」
その声は突然聞こえてきた。
さっきまでいなかった人物の声。
「デアルじゃないか・・・。いつ帰ってきたんだ・・・?」
シンが目を見開いて問う。
しかしデアルさんは息を弾ませている。
「今、飛んできましたっ。嫌な、予感がした、から。」
肩で息をしながら、すこしずつ落ち着いてゆく。
髪は乱れ、息は切らして、ここまでどんなに急いできたかがすぐにわかった。
「セリシア、は?死んだりしてない、よな?」
「安心しろ、デアル。セリシアは魔力切れで倒れてただけだ。もう魔力も回復したよ。」
シンがデアルさんに説明する。
すると、一度ほっと息をつく。
そりゃそうですよね。
自分の妹が、死んでいないとわかったのですから。
「・・・よかった、とりあえずは・・・。」
とりあえずは?
その言葉には少し思うところがある。
けれど、気のせいだろうと思いなおすことにした。
「そうだ、デアル。これ・・・。セリシアがお前にあてた手紙だ。いわく遺言だそうだ。まあ、もう死なないだろうから、もうあまり意味はないがな。」
そうだ。
そういえば、セリシアさんの手紙に入ってたらしい。
デアルさんはそれを受け取ると、一度部屋を出た。