【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~
第27章 異次空間
セリシアside
全く眠くならない。
ジャーファルさんを見送ったのち、やっぱり帰れないことが分かった。
強引にリ・ボーン・ゲートを二人で通れば、二人とも死ぬ可能性もあったしね。
でも、この世界にとどまれば、眠っちゃうんだと思ってた。
でも、一向に眠くならない。
「・・・ジャーファルさん、帰れたかな。」
空間で一人、つぶやく。
誰もいないこの空間。
正真正銘の独り言だ。
「帰れたといいな。」
そんなことを思う。
そしてあおむけに寝っころがる。
上はまるで空。
この空間がどんな空間にあるのか、全く分からないけれど、青空が広がっているように見えた。
風があるわけではないのだけれど、雲が流れているのがわかる、そんな空。
「なんか、なつかしい。」
・・・え?
自分でつぶやいて不思議に思う。
何でなつかしい?
だって、キユノ王国は雪国で、青空なんてめったにない。
旅の時はそうでもないけれど、上を見ることはそんなに多くなかったと思うんだけど。
じゃあシンドリア?
でも、何かが違う感じでなつかしいんだ。
ってことは?
「・・・私、ここに来たことがある?」