【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~
第26章 手紙
シンドバッドside
その後も手紙は読まれた。
個人個人に当てていたのは八人将、王の9人だった。
ところどころ手紙がぬれていることにはすぐに気が付いた。
それでも、読めなくはない。
セリシアの文は、できるだけ変えないようにして読む。
「ジャーファルさんへ。」
はたして、ジャーファルに向かってセリシアは何を残すのだろう?
それは俺以外にも思ったやつが何人かいたらしい。
泣き崩れるヤムライハ、ピスティも、この時だけは顔を上げた。
「副政務官にまでしてくれてのに、死んじゃってごめんね?
生きて帰るのは難しい気がしちゃうんだ、やっぱり。
でも、今日の分の仕事は終わらせたから。少しだけ喜んで
ね。でも、不安はあるから、ちゃんとやった仕事、確認し
ておいてね。」
・・・え?
それだけだった。
仕事の通達・・・?
ジャーファルの方を少しだけ見てみる。
すると、ジャーファルは下を見てうつむいていた。
そりゃそうだろう。
好きな人に残された手紙は、業務連絡のようなものだったのだから。
「今まで、本当にお世話になりました。この手紙の中に、一回り小さな封筒があります。これは、デアルが訪れた時に渡してください。お願いします。そろそろ終わります。・・・ああ、ジャーファルさんに最後にお願いが。
私の分の仕事は全部に目を通してください。あと、ごめんね。バイバイ。
セリシア。」