【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~
第21章 戦争終了まで
セリシアside
「さて・・・。どうしようか、こいつ。」
私らでまあ話してた時、すっかり放置していた王。
逃げようとしたみたいだったけど、ジャーファルさんの縄鏢っていうんだっけ。
赤い紐のついたあの武器に縛られてて逃げられない。
「そう・・・ですね。できることなら、シンドリアに連れ帰りたいところですけど・・・。」
「それは・・・。」
できればしたくない。
それはつまり、生かしておく、と言うこと。
「・・・悪いんですけど、ジャーファルさん。俺はまだ・・・。」
歯切れの悪そうに言うデアル。
だけど、それは私も同じ。
「うん、デアル。それはまだ私もそうだよ。・・・ジャーファルさん。復讐にとらわれるのは、やめました。でも。」
それでも、ここまで来て投げ捨てるのは嫌だった。
区切りがつかないこんな終わり、気分が悪い。
黙っていると、察してくれたようだった。
「そう・・・ですよね・・・。でも、それならば一つだけ。もともとは暗殺者だった私から、一つだけ。」
そう言って、私とデアルを交互に見る。
それを言いたかったのかな、さっき。
「確かに私は昔、大勢の人を殺してきました。あのときは、特になにも考えていませんでした。でも今は違います・・・。」
その眼は、悔やんでいるようだった。
「人の命を殺めてしまえば、その人の人生を奪ってしまうということ。人一人の人生は、簡単には変えられない。ですから、簡単に人を殺してはいけません。いくら復讐でも、です。だから・・・。まっとうに弔いなさい。やわな気持ちで弔うことはしないで。時間があるのですから、最後まで見届けなさい。」