【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~
第16章 能力を知りました。
ジャーファルside
「いや・・・わかりませんね・・・。すいません、なんだか力になれなくて。」
いいや、そんなのはうそだ。
突然の相談に、何だろうと思って耳を傾けた。
だが、それは驚くべき話だった。
「そうですよね・・・。黒い力、なんて。」
なんで黒い力。
そう思った。
黒い力・・・おそらくそれは、黒いルフのことを意味しているだろう。
すなわち、アルサーメンのことだ。
なんで、この人がそれを知っているのだろう?
いや・・・。
今のは、本気でわからないことを聞く感じだった。
なにか・・・あったのか?
だが、彼女の過去にそんな話はなかったはずだ。
いったい、どういうことだ…?
「あ、そうだ。ジャーファルさん、今日、着ますか?」
「・・・え?」
はやくも切り替えた彼女。
「政務官の服ですよ・・・。けっきょく、着てないんですけど・・・。で、着るとしたら、それってちゃんと着ます?」
「ああ・・・。そうですね、朝の会議の時は、ちゃんと着たほうがいいですかね。でも、そのほかはどちらでもいいですよ。」
そう言えば、セリシアさんってけっきょく、服はいつものと黒いワンピースの二つしかないのかな?
いつもそれしか着てないような気がするのだけれど・・・。
まあ、私服が一着の私が言うことではないですけどね。
「じゃ、その時だけ正装しますね!どうも動きにくくって。」
「多分、まだ新調したばかりだからっていうのもあるかもしれませんね。」