【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~
第15章 休息。
セリシアside
ガチャっ
びっくりしてドアの方向をみる。
今の音は間違いなく、誰かがドアを開けた音だ。
気配に気付いてなかった。
「だれ・・・。」
涙を拭きながら立ち上がる。
前髪で上手く見えなかったけど、払ってみようとした。
・・・あ。
「なんだ、ジャーファルさんか・・・。」
なんか、うまく笑えてない気がする。
「セリシアさん、予備でもう一枚渡すの忘れてたんですけど…。どうしました?泣いて・・・。」
我慢できなくなってジャーファルさんのところに駆ける。
今は、誰かに頼りたかった。
誰でもいい。
ただ、しがみつきたかった。
「お願い、ちょっとでいい。黙って・・・。」
顔を見られないように、伏せながら言う。
ジャーファルさんはきっと驚いてるだろうな。
だけど、何も言わずにいてくれた。
むしろ、向こうも抱きしめてくれた。
力強く、でも苦しくない。
本当優しいよね、ジャーファルさん。