【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~
第4章 誤解でした。
ジャーファルside
倒れていた人が目を覚ましたと知り、シンと共に部屋に向かう。
とりあえず謝る方向ということでシンとの決着はついた。
シンは記憶がないから何とも言えないとか何とか言っていたが、何をしたか、がなければ、倒してすまない、の方向で謝らせることにした。
だが、部屋について状況が少し変わった。
セリシアといった彼は、昨日のことを何も覚えていなかった。
「実は昨日、酔った王があなたを押し倒したようで。」
「すまんが俺も記憶がないんで、確証はないのだが。」
「本当に申し訳ございません。まさか男の人に手を出すとは思わなくて。」
セリシアさんは、きょとんとした顔をしながらも、はあ、とばかりに気の抜けた返事をした。
「あの…、それに関してのことは何も覚えていないのですか??」
彼が変な気を起こさないように慎重に問う。
「はい。」
即答する彼は、そんな気などみじんもないかのような顔をする。
だがまあ、覚えていないのであれば、それはそれでよいのだが…。
「・・・あの、どの辺からの記憶がありませんか?」
「んーっと、この国に来て、それなりの距離を歩いたとこまでですかね。」
では、やはり押し倒したのは誤解だったか??
「・・・しいて言うのであれば、誰かにぶつかって倒れた気はしますけど。っていうか、ボクは押し倒されたんじゃなくて、ぶつかっただけではありませんか??」
・・・そうか、そういう可能性もあった。
冷静になるのを忘れてそれに頭が回らなかった。
「ほー。だが、それで倒れるって君は大丈夫なのかい??」
そうだ、この人には検査を受けさせなければ…。