第11章 DAY5 単独行動
二人のやり取りを見ているうちにいつの間にかレイアは笑ってしまった。
セスも少しほっとしたように微笑む。
「…良かったわ。何があったか知らないけれど、泣いてる女の子を放っておくことはできないから…」
するとルカが訝しげな表情を浮かべる。
「…今日は、誰かと一緒じゃないの?」
その言葉にレイアの顔が曇る。
「うん、一人…」
するとセスが明るく切り出す。
「やったぁーうるさい赤のクイーンがいないなら、3人でお茶しましょー?ほら、こないだ言ってたパンケーキのお店、連れてってあげるわ!いらっしゃい、アリスちゃん!」
「あ、えっと…」
先頭切って歩き出すセスの後ろで、ルカが手を差し伸べる。
「……よかったら、来て?甘いものは、心が楽になる」
「…うん」
レイアはルカの手をとり、セスの行く方へと歩き出した。
セスの案内で訪れたカフェで、3人はパンケーキを頼んだ。
セスはシトラスソース、ルカはベリーソース、レイアは裏メニューのマンゴーソースを頼んだ。
「うわぁ……すっごく美味しい」
「でしょ?シトラスソースもすてがたいのよ?」
そう言ってセスは自分のパンケーキを一口フォークに乗せて差し出す。
「いいの?」
「もちろんよ?シェアは女子会の特権よ?」
「…セス、女子はレイアだけだよ」
ルカの突っ込みはスルーしてセスはレイアの口元へパンケーキを差し出す。
レイアはセスのパンケーキをぱくりと食べ、また表情を明るくさせる。
「お、美味しい!!」
「でっしょー?」
セスは少し勝ち誇ったような顔でルカに視線を送る。
その視線を受けたルカはむっとしたような顔をすると
「……レイア」
ルカはベリーソースのたっぷり絡んだパンケーキをフォークに乗せて差し出す。
「え…ルカもいいの?」
「……交換条件、ね」
ルカはレイアのパンケーキをちらっと見やって小さくウィンクする。
「…ありがとう」
レイアはベリーソースも堪能し、自分のパンケーキもルカへ差し出した。
ルカはレイアの差し出したフォークをぱくっと咥える。
「やだーっ!アタシもやってやってー!!」
騒ぎだすセスがおかしくて、二人は笑った。