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【イケメン革命】月小屋へようこそ【R-18】

第11章 DAY5 単独行動




赤の橋を越えればそこはセントラル地区。
中立のエリアだ。


土地勘は全くなかったものの
初めての場所ではない。

レイアは行き先も決めぬまま
とりあえず街へ向かって歩き出した。



(ヨナ…)

ヨナがくれた優しい思い出たちが
『自分のため』だと、少しでも思ってしまっていた自分自身を
レイアは悔いた。


(私、何を思いあがっていたんだろう)


ヨナは軍人だ。
しかもクイーン。

そんな偉い人が、そもそも私に個人的な感情を持って優しくするわけがなかったんだ。

(バカだな…私)


それでも胸の中に広がる冷たい悲しみを
止めることができない。


(この世界に…私の味方は)


最初からいなかった。




たまたま「先攻」が黒の軍だった、というだけで

結局、赤の軍もその後同じことをするわけで


どちらも欲しいのは「アリスの力」で


(私じゃない)



帰る場所のない世界に一人ぼっちであることを急に実感しはじめたレイアは
目にこみ上げる涙を抑えることができずにいた。


(やだ…どうしよ……)


懸命に零れ落ちる涙を指で拭いながら俯き歩いていると


「わっ…!!」

「きゃっ!」


ちょうど店から出てきた人とぶつかってしまった。


「ご…ごめんなさ……」


「……ちょ、ちょっとーぉ!!アリスちゃんじゃないのぉ!!」


聞き覚えのある声。
おそらくクレイドル一のハイテンションボイス。


顔を上げたレイアは目を見開き驚いて固まった。


「セ……セスさ…」


「……ヤダーーーー!!!泣いてる?!泣いてるわよね?!一体どうしたのよぉー!!」


セスはレイアの両肩を掴んで間近に迫る。


「あ、えっと…あ、あの…」


しどろもどろになるレイアは、背後にもう一人の人影を確認する。

その人物がセスの後頭部を思いっきりはたく。


「痛っ!!!」


「………セス、近すぎ。離れて」


セスがレイアの肩を離し、後ろへ下がる。


「……ルカも、いたんだね」


「ごめん…驚かせて……」

ルカは優しく微笑みながら、セスの首根っこを捕まえている。


「ルカ!離してよぉ!だってアリスちゃん泣いてるじゃない…」


「セスが近いと余計泣かせる…」


「……ふふっ…」

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