第10章 4th night 【レイ・ブラックウェル】
レイアの髪をかき上げると、レイはそのまま顔を近づけてくる。
「…顔色、あんま良くない」
「…えっ」
間近に迫ったレイがふっと柔らかく微笑み、頭を撫でる。
「今日はゆっくり寝ろよ?」
するとレイは
髪をかき上げ露わになったレイアの額にキスを落とした。
「……っ!!」
顔を赤くしたレイアがゆっくりとレイを見上げる。
「……」
少し潤んだレイアの瞳を受け止めながら、レイは呟く。
「……セスの気持ち、分からなくもねぇな…」
「え…?」
どういう意味か分からず聞き返すも、レイは答えてくれなかった。
少し顔を赤くしたレイが、視線を逸らしてさっと離れる。
「……帰るわ」
目線を合わせず、レイはジャケットを羽織り支度を始める。
「……あ」
玄関へいそいそと向かうレイを思わず呼びとめてしまう。
「レ、レイ…」
「……ん?」
「あの……」
言い淀みながら、レイアは続ける。
「……ありがとう、レイ」
少し顔を赤らめながら、微笑んで礼を言うレイアの姿を見て
レイは苦しげに眉根を寄せる。
「……あのさ、レイア…それって」
レイはレイアの目の前にまで迫ると
顎を指先でとらえ、上を向かせる。
「……煽ってるようにしか…見えねーんだけど?」
「えっ……」
レイアの反応も見ず、レイはそのまま唇を重ねる。
「……ん…」
レイは優しく、レイアの唇を濡らすように
何度も角度を変えて水音を立てた。
「……んんっ…ぁ」
レイアの口端から甘い声が漏れ出る。
その声を聞いたレイが更に苦しげに息を吐く。
そしてレイアの身体を壁際に押しつけ
今度は深いキスを落とした。
「……ん…っ…んん……」
レイの舌がレイアの口内を犯していく。
優しすぎず、荒すぎず、まっすぐに求めてくるような欲が伝わる。
しかし、レイははっとなってゆっくりと唇を離した。
僅かな水音をたてて離れていくレイに、微かな名残惜しさを覚える。
「……悪い…今の…忘れて」
表情の読めない顔で、レイは目を合わせることなくレイアから離れると
「じゃあ……おやすみ」
一方的にそう告げて、玄関を後にした。