第7章 DAY3 クイーンとのデート
朝食を済ませて会いに行こうと思っていた相手は
赤の兵舎前で二人が戻るのを待っているかのように立っていた。
「ヨナ…もうすんだのか」
「え?ああ…いざこざは解決したよ」
ゼロが馬から降り、レイアが降りるのを手伝う。
「待っていたのか?ここで」
「え?…そんなわけないだろう!俺もたった今後始末が終わってここに来たところだ」
かなり遠くからヨナがそこに立っていたのを確認していたレイアとゼロは、目を合わせてふっと笑んだ。
「……何?何か言いたいことでもあるの?」
ヨナはレイアの顔を覗きこんで不機嫌そうに言う。
「いえ……ヨナに会いに行こうと思っていたから、会えてうれしいなと思って」
「え」
ヨナはきょとんとして、すぐに視線をそらす。
「む、迎えに行くと約束したのを破ってしまったからね…それより朝食、まだでしょ?ほら、さっさと行くよ?!」
ヨナは少し強引にレイアの腕を掴み、中へと引っ張っていく。
「あ…」
振り返るとゼロがやれやれ、といった顔をしている。
(ありがとう)
レイアは目線だけでお礼を告げた。
「今日は一緒にセントラル地区へ行くよ」
ヨナは朝食をとりながら突然そう切り出した。
「え?」
「…何、何か不満?」
「……いや、不満っていうか…その」
言い淀むレイアにヨナが眉根を寄せる。
「……セントラル地区って、何?」
「え?」
ヨナは拍子抜けしたような声を出す。
「…あのねぇ」
大きなため息と共にヨナはしゃべりだす。
「セントラル地区っていうのは、君が落ちてきたガーデンがあったり、お店があったりカフェがあったりする…赤の領地でも黒の領地でもない、完全中立の場所」
「あ、そうなんだ……で、何しに行くの?」
「……君ってちょっと、頭弱いの?」
ヨナは呆れたように続ける。
「この!ヨナ・クレメンス様が!君のために時間を割いてデートしてあげようって言ってるのが分からない??」
「へっ?」
レイアは思わず妙な声を上げてしまう。
「…主人交代までずっと赤の兵舎に閉じこもっていたいならそれでもいいけれど?」
「や、やだ!行きたい!!」
身を乗り出して答えるレイアに、ヨナ満足そうに頷いた。