第7章 DAY3 クイーンとのデート
明朝。
朝日が差し込む中、外に馬の着いた気配がして
レイアはふっと目を覚ました。
(…ヨナ……来たのかな)
レイアはゆっくり身を起こし、カーディガンを羽織った。
「…アリス、起きているか」
声の主はヨナではなかった。
(あれ、ヨナじゃない)
レイアが扉を開けると、そこにいたのは赤の軍のエース、ゼロだった。
ゼロは一瞬目を見開き、視線を逸らすと
「……ヨナは急用で来れない。馬車の手配ができなかったから…俺の馬に乗ってもらう。…支度、して来い」
少し頬を染めたゼロを怪訝そうに見つめ
カーディガンの隙間から自分の夜着がはだけていたことに気付く。
「ご、ごめんなさい…今すぐ支度します…」
レイアは胸元を押さえ、急ぎ中へ入った。
「ヨナは…どうしたんですか?」
後ろで手綱をひくゼロに、レイアは尋ねる。
「…セントラル地区で喧嘩があって、どうやら赤の軍が絡んでいたようだ。ヨナの直属の部下だったようだから出向かないわけにはいかなかったのだろう」
「そっか」
ゼロはふっと笑みをこぼす。
「…ヨナに来てほしかったか」
「え?そ、そういうわけでは…」
「すまなかったな、俺では役不足のようだ」
普段あまり表情のないゼロが笑みをこぼしているのが珍しく
レイアは少しほっとしたような気持ちになった。
「…ところで」
ゼロは少し言い淀みながら尋ねてくる。
「その、昨晩は誰が来たんだ」
否応なしにレイアの顔が赤く染まる。
「……えっと、ルカです」
「…!」
ゼロは目を見開く。そして
「それは…ヨナには黙っていた方がいい」
「え、どうして?」
「ルカは、ヨナの弟だ。…しかもかなり溺愛している」
「………えええっ!!!」
レイアは驚きのあまりかなり大きめに叫んでしまった。
(確かに…似てた……ああ、どこかで見覚えがある気がしたのは…)
レイアは自分が感じていた既視感に納得がいった。
そうこう話しているうちに、赤の兵舎へ向かう橋が見えてくる。
「もうヨナも戻っているだろう…朝食が済んだら、ヨナに会いに行くといい」
「?」
「何だか…お前をひどく気にしていたからな」